30代のキャリアチェンジ、Webマーケティング業界の「リアルな1日」を紹介

「Webマーケターって、実際、一日何をしているんだろう?」

リモートワークで、お洒落なカフェでMacBookを開いている…そんな華やかなイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし、その実態は、あなたが想像する以上に、地道で、分析的で、そしてコミュニケーションに満ちています。

30代からのキャリアチェンジ。それは、あなたの人生における大きな決断です。だからこそ、転職してから「こんなはずじゃなかった」と後悔することだけは、絶対に避けたいですよね。

そのために最も重要な準備が、Webマーケティング業界の「リアル」を知ることです。

この記事では、30代で未経験からWebマーケターに転職した、2人の人物の「リアルな1日」を、タイムスケジュール形式で詳細にご紹介します。所属する企業の種類が違うと、働き方や求められるスキルも大きく異なります。

  • 事業会社のWebマーケター: 自社の商品やサービスを成長させる、戦略家の一面
  • 支援会社(代理店)のWebマーケター: 複数クライアントの成果を追求する、プロフェッショナルな一面

この2つの事例を通じて、あなたの未来の働き方を具体的にイメージし、自分はどちらのタイプに向いているのか、そして、今どんなスキルアップが必要なのかを、ぜひ見つけてください。


パターンA:事業会社のWebマーケター(33歳・元営業職)の1日

まずは、自社の商品やサービスを、自分たちの手で育てていく「事業会社」のWebマーケターの事例です。中長期的な視点で、事業の成長に深くコミットする働き方が特徴です。

この人のプロフィール

  • 名前: 佐藤さん(33歳・男性)
  • 前職: 人材業界の法人営業
  • 現職: D2C化粧品ブランドのWebマーケター(転職後2年目)
  • ミッション: 自社ECサイトへの集客と、CRM(顧客関係管理)施策によるLTV(顧客生涯価値)の最大化

タイムスケジュール

9:30-10:00 | 始業・各種データのチェック

出社後、まずはコーヒーを淹れながら、昨日のサイトの「健康診断」から1日が始まります。

  • Googleアナリティクス4(GA4): ECサイトのアクセス数、コンバージョン数、流入経路などを確認。大きな異常値がないかをチェック。
  • SNSアカウント: InstagramやX(旧Twitter)のエンゲージメント数、コメントなどを確認。お客様からの重要な声が埋もれていないかをチェック。
  • 広告管理画面: 主要な広告のCPA(顧客獲得単価)に大きな変動がないかを確認。

10:00-11:00 | マーケティングチームの週次定例

チームメンバー5名と、今週の施策の進捗と、先週の結果を共有するミーティング。佐藤さんは、先週実施したメルマガキャンペーンの結果を報告。「開封率は良かったものの、クリック率が想定より低かった。原因はおそらく、訴求内容がターゲットの悩みと少しズレていたこと。今週は、切り口を変えたABテストを実施したい」と、データに基づいた具体的な改善案を提案します。

11:00-12:30 | 集中タイム①:メルマガの企画・作成

ミーティングでの議論を踏まえ、今週末に配信するメルマガの作成に取り掛かります。ただ文章を書くだけではありません。

  • ターゲット選定: CRMツールを使い、今回のキャンペーンに最も響きそうな顧客セグメントを抽出。
  • 訴求内容の検討: ターゲットのインサイトを想像し、A案「成分の科学的優位性を訴求」、B案「利用者の感動的な体験談を訴求」の2パターンを作成。
  • クリエイティブ依頼: デザイナーに、メルマガに使用する画像やバナーの作成を依頼。ここでも、「なぜこのデザインが必要なのか」という目的を明確に伝えるコミュニケーションが重要になります。

12:30-13:30 | ランチ休憩

同僚とオフィスの近くでランチ。仕事とは関係のない雑談で、心と頭をリフレッシュさせます。

13:30-15:00 | 関連部署との連携ミーティング

午後は、他部署との連携が中心。今日は、商品開発チームと、3ヶ月後に発売する新商品のプロモーション戦略についてブレスト会議。
「その商品の強みは、技術的には〇〇ですが、お客様にはどう伝えれば響きますかね?」という開発担当者からの問いに対し、佐藤さんは「Webアンケートの結果を見ると、お客様は『効果』よりも『手軽さ』を求めている傾向があります。なので、『30秒で完了する、朝の時短スキンケア』という切り口はいかがでしょう?」と、顧客データに基づいた提案を行います。

15:00-17:30 | 集中タイム②:SEO記事の分析とリライト

自社ブログのアクセス解析を行い、テコ入れが必要な記事をピックアップ。「検索順位は高いのに、読了率が低い記事」を発見し、読者がどこで離脱しているのかをヒートマップツールで分析。結論を冒頭に持ってくる、図解を追加するなど、構成を大幅にリライトします。これは、Webマーケターの地道で、しかし非常に重要な「改善」の仕事です。

17:30-18:30 | 自己学習・情報収集

終業前の1時間は、インプットの時間。業界のニュースサイトをチェックしたり、気になっていたマーケティング関連の書籍を読んだり。この日々のスキルアップが、明日のアウトプットの質を決めます。

18:30 | 終業

残業はせず、ジムで汗を流してから帰宅。オンとオフの切り替えを大切にしています。

この働き方の特徴と求められるスキル

  • 事業への深い理解: 自社の商品・サービスを深く愛し、事業全体の成長を自分事として捉える当事者意識が求められます。
  • 社内調整能力: デザイナー、エンジニア、商品開発、営業など、様々な部署を巻き込み、プロジェクトを推進するコミュニケーション能力が不可欠です。
  • 中長期的な視点: 短期的な成果だけでなく、ブランド育成やファン作りといった、中長期的な視点での施策立案が重要になります。

パターンB:Web広告代理店の運用コンサルタント(35歳・元販売職)の1日

次に、クライアント企業のマーケティング活動を支援する「支援会社(代理店)」のWebマーケターの事例です。複数の案件を同時に動かす、スピード感と専門性が求められる働き方が特徴です。

この人のプロフィール

  • 名前: 鈴木さん(35歳・女性)
  • 前職: 百貨店の化粧品販売員
  • 現職: Web広告代理店の広告運用コンサルタント(転職後3年目)
  • ミッション: 担当する5社のクライアントの広告効果を最大化し、ビジネス目標の達成に貢献する。

タイムスケジュール

10:00-11:00 | 始業・全クライアントの広告アカウント確認

出社後、まずは担当する全クライアントの広告管理画面を一斉にチェック。

  • 日次予算の消化ペースは適切か?
  • CPAやCVRに異常な変動はないか?
  • 品質スコアが低下している広告はないか?

問題があれば、すぐに入札価格の調整や、広告の停止といった初動対応を行います。この朝のチェックが、クライアントの予算を守る生命線です。

11:00-12:00 | A社(ECサイト)との週次定例(Web会議)

クライアントであるA社と、週次の定例ミーティング。鈴木さんは、先週の広告成果をまとめたレポートを画面共有しながら説明します。
「先週は、Cという訴求の広告CPAが目標値をオーバーしました。原因は、競合のセールによるクリック単価の高騰と推測されます。対策として、今週はDという別の訴求軸のクリエイティブに予算を寄せ、様子を見たいと考えていますが、いかがでしょうか?」と、プロとして、データに基づいた現状分析と、次のアクションを明確に提示します。

12:00-13:00 | ランチ休憩

先輩とランチ。担当クライアントの業界の最新トレンドや、新しい広告媒体の情報などを交換します。

13:00-15:00 | 集中タイム①:B社(不動産)の広告クリエイティブ入稿とC社(人材)の入札調整

午後は、各クライアントの細かな運用業務に集中。

  • B社: デザイナーから上がってきた新しいバナー画像を、Facebook広告とInstagram広告に入稿。ターゲット設定や、効果測定のためのパラメータ設定などを、ミスなく慎重に行います。
  • C社: クリック単価が上がりやすい平日の午後に向け、Google広告の入札単価を、キーワードごとに細かく手動で調整。1円単位の調整が、月間の成果を大きく左右します。

15:00-16:30 | D社(SaaS)向け新規提案資料の作成

既存クライアントであるD社から、「来期は、新しいターゲット層にアプローチしたい」という相談を受けています。チームメンバーと「ペルソナ設計」「媒体選定」「予算シミュレーション」について壁打ち(ブレスト)しながら、提案資料の骨子を作成します。

16:30-18:00 | 集中タイム②:A社の月次レポート作成

月末の報告会に向け、A社の月次レポートの作成に着手。今月の成果をまとめるだけでなく、「今月の結果を踏まえ、来月は〇〇に注力すべき」という、次なる打ち手への「示唆」を盛り込むことが、コンサルタントとしての価値を発揮するポイントです。

18:00-19:00 | 緊急対応・情報収集

終業間際、クライアントから「Webサイトで障害が発生したので、一時的に広告をすべて止めてほしい」との緊急連絡が。すぐさま全キャンペーンを停止し、対応完了を報告。その後、広告媒体のアップデート情報などをチェックし、知識をアップデートします。

19:00 | 終業

1日中、頭をフル回転させた達成感と共に退社。

この働き方の特徴と求められるスキル

  • 高いマルチタスク能力: 複数のクライアント、複数の広告媒体を、頭を切り替えながら同時に動かしていく能力が必須です。
  • 成果への強いコミットメント: クライアントの予算を預かり、その成果に責任を持つという、プロフェッショナルとしての強い当事者意識が求められます。
  • クライアントとの円滑なコミュニケーション能力: 専門家として、クライアントに分かりやすく説明し、信頼関係を築き、時には難しい交渉も行う能力が必要です。

まとめ:あなたの未来の「リアルな1日」を想像しよう

Webマーケティングの「リアルな1日」は、決して華やかなことばかりではありません。
しかし、そこには、自分の頭で考え、仮説を立て、実行し、その結果が数字として還ってくるという、知的な興奮と確かな手応えがあります。

そして何より、

  • 事業の目的を考える力(目的思考)
  • 自ら学び、行動する力(自走力)
  • 多様な人々と誠実に向き合う力(コミュニケーション能力)

あなたがこれまでの人生で培ってきた、これらのポータブルスキルこそが、この世界で最も価値あるスキルなのです。

事業会社で、一つのサービスを深く愛し、育てていく未来。
支援会社で、プロフェッショナルとして、多くの企業の成長を支える未来。

あなたの未来の「リアルな1日」を、ぜひ想像してみてください。
それは、あなたが思っている以上に、エキサイティングなものになるはずです。

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