40代未経験者がWebマーケティングのポートフォリオを作るなら、何から始める？

2025.07.26

「実績ゼロ」は、もう言い訳じゃない。40代の経験を価値に変える、最強の武器の作り方。

40代、未経験からのWebマーケティング業界への「転職」。その決意を固め、学習を始めたあなたが、必ずぶつかるであろう大きな壁。それが、「実績をどう示すか？」という問題です。

職務経歴書には、これまでの立派なキャリアが書ける。面接では、熱意も語れる。しかし、採用担当者が本当に知りたいのは「で、あなたにWebマーケティングの何ができるの？」という、シビアな問いへの答えです。

この問いに答える、唯一にして最強の武器。それが「ポートフォリオ」です。

「でも、実務経験がない自分に、見せる実績なんて何もない…」

そう言って、諦めてしまうのはあまりにもったいない。むしろ、40代未経験者だからこそ、ポートフォリオはあなたの「学習意欲」「ポテンシャル」、そして何より「20年近いビジネス経験に裏打ちされた課題解決能力」を証明するための、最高のステージなのです。

この記事は、「実績ゼロ」の状態から、採用担当者の心を動かし、「この人と一緒に働きたい」と思わせるポートフォリオを構築するための、完全ロードマップです。あなたの「リスキリング」の成果を可視化し、理想の「キャリアアップ」を実現するための第一歩を、ここから踏み出しましょう。

なぜ40代未経験者の転職にポートフォリオが「必須」なのか？

なぜ、これほどまでにポートフォリオが重要視されるのでしょうか。それは、ポートフォリオが、あなたの言葉や経歴だけでは伝わらない「3つの価値」を証明してくれるからです。

1. 「学習意欲」と「本気度」を証明する唯一の証拠

「Webマーケティングに強い興味があります」「独学でここまで勉強しました」
面接でそう語ることは誰にでもできます。しかし、採用担当者は、その言葉の裏付けとなる「証拠」を探しています。

ポートフォリオは、「私は口先だけでなく、実際にこれだけの時間を投資し、自分の頭で考え、手を動かして、形にしてきました」という、何よりも雄弁な行動の証明です。特に、働きながら、あるいは家庭と両立しながら、これだけの質と量のアウトプットができるという事実は、あなたの学習意欲と自己管理能力の高さを、鮮烈に印象付けます。

2. 40代の「ビジネス経験」とWebスキルを接続する「翻訳機」

あなたのこれまでのキャリアは、Webマーケティングと無関係に見えるかもしれません。しかし、営業経験で培った「顧客理解力」、企画職で培った「プロジェクト推進力」、販売職で培った「ニーズ喚起力」などは、すべてWebマーケティングの現場で活きる、非常に価値のあるポータブルスキルです。

ポートフォリオは、こうした目に見えないスキルを、Webマーケティングの文脈に「翻訳」して見せるための、最高のプレゼンテーションツールとなります。「前職の〇〇の経験を活かし、△△というWebマーケティングの課題を、このように解決しました」と示すことで、採用担当者は、あなたが新しい環境でも活躍する姿を具体的にイメージできるのです。

3. 年齢や未経験という「不安要素」を払拭する「実力証明書」

企業側が40代未経験者を採用する際、正直に言えば、いくつかの懸念を抱いています。
「この年齢から、新しいことを本当にキャッチアップできるのだろうか？」
「若いメンバーが多いチームに、うまく馴染めるだろうか？」

こうした漠然とした不安に対し、論理的に構成され、具体的な成果が示されたポートフォリオは、「私は年齢に関係なく、自走して学習し、成果を出すことができます」という動かぬ「実力証明書」となります。それは、採用担当者が抱える不安を払拭し、あなたへの期待値を大きく引き上げる効果を持つのです。

【実績ゼロからの第一歩】ポートフォリオの「中身」を作る3つの方法

「ポートフォリオの重要性はわかった。でも、肝心の中身がない…」
ご安心ください。実績は、今から作ればいいのです。ここでは、実務経験がなくても、あなたのスキルとポテンシャルを証明するための「実績」を作る、具体的な3つの方法をご紹介します。

方法1：自分の「ブログ」を立ち上げ、運営する（最も王道で効果的）

未経験者にとって、これ以上ないほど最適な実績作りが「ブログ運営」です。なぜなら、ブログという一つのメディアを運営するだけで、Webマーケティングの必須スキルを総合的に実践し、アピールできるからです。

なぜブログなのか？

SEO：キーワード選定、競合分析、内部対策、コンテンツ作成など、SEOの一連の流れを実践できる。
コンテンツマーケティング：読者の課題を解決する記事を企画・執筆するスキルを証明できる。
データ分析：Google AnalyticsやGoogle Search Consoleを導入し、アクセスデータに基づいて改善策を考える、データドリブンな思考力を養える。

何をテーマに書くか？

成功の鍵は、自分が「語れること」「好きなこと」をテーマに選ぶことです。

キャリアの棚卸し：前職が不動産業界なら「賢いマンションの選び方」、人材業界なら「30代のキャリア相談」など、あなたの専門知識を活かす。これは「ドメイン知識」のアピールにも直結します。
趣味やライフスタイル：キャンプ好きなら「初心者向けキャンプギア紹介」、料理好きなら「時短レシピ集」など。熱量を持って語れるテーマは、コンテンツの質を高め、継続のモチベーションにもなります。

ポートフォリオにどう載せるか？

ただブログのURLを貼るだけでは不十分です。以下の要素をセットで記載し、「戦略的に運営した」ことをアピールしましょう。

ブログ概要：ターゲット読者、コンセプト、なぜこのテーマを選んだか。
担当業務：サーバー契約、WordPress設定、デザイン、記事企画、執筆、SEO対策、アクセス解析など、自分がやったこと全て。
実績・成果：「開設3ヶ月で月間1000PV達成」「『〇〇 △△』のキーワードで検索10位以内を獲得」など、具体的な数字を示す。
分析と考察：Google Analyticsのデータを見せながら、「ユーザーの離脱率が高かったため、記事の導入文を改善した結果、滞在時間が〇%向上した」など、あなたの思考プロセスを詳細に記述する。

方法2：SNSアカウントを「戦略的」に運用する

ブログよりも手軽に始められ、リアルタイムな反応が見えやすいのが「SNS運用」です。これもまた、立派な実績となります。

どのSNSを選ぶか？

X（旧Twitter）/ LinkedIn：ビジネスパーソンとの繋がりや、BtoBマーケティングの知見を発信するのに最適。
Instagram：ビジュアルが重要なアパレル、コスメ、飲食、旅行などの分野に強み。
TikTok：動画編集スキルや、若者向けトレンドを捉える力をアピールできる。

「ただの日記」で終わらせない

重要なのは、戦略性です。

ペルソナ設定：誰に、何を届けたいアカウントなのかを明確にする。
KPI設定：フォロワー数、エンゲージメント率、プロフィールへのクリック数など、目標とする数値を設定する。
分析・改善：インサイト機能を使い、「どの投稿が伸びたか」「どの時間帯が反応が良いか」を分析し、次の投稿に活かす。

ポートフォリオにどう載せるか？

ブログと同様に、運用したプロセスと思考の軌跡をセットで示します。

アカウント概要：コンセプト、ターゲット、運用目的。
KPIの推移：フォロワー数やエンゲージメント率の推移を、グラフなどで視覚的に示す。
施策と考察：「ハッシュタグを〇〇から△△に変更した結果、リーチ数が□%増加した」「リール動画の投稿を増やした結果、フォロワー獲得効率が上がった」など、具体的なアクションとその結果、そしてあなたの考察を記述します。

方法3：「架空の課題」を設定し、改善提案を行う

ブログやSNSを育てる時間がない、という場合は、この方法が有効です。実在する企業のWebサイトなどを題材に、あなたがマーケターだったらどうするか、という「改善提案書」を作成します。

どんな課題を設定するか？

身近な企業を選ぶ：あなたがよく利用するカフェ、好きなアパレルブランド、地元の商店など。愛情や問題意識がある方が、提案に熱がこもります。
具体的な課題を発見する：「このカフェ、すごく美味しいのに、Webサイトがスマホ対応してなくて見づらいな…」「このブランド、Instagramをもっとこう使えば、ファンが増えるのに…」といった視点で課題を見つけます。

ポートフォリオにどう載せるか？

作成した提案書（GoogleスライドやPDFで10〜20枚程度）そのものが、あなたの思考力とスキルを証明する実績となります。

提案書の構成例：
1. 現状分析：対象サイトの現状、3C分析（市場・競合・自社）、SWOT分析など。
2. 課題の特定：分析から導き出された、最も解決すべき課題の提示。
3. 改善提案：課題を解決するための具体的な施策（SEO改善案、広告出稿プラン、SNS活用戦略など）。
4. 期待される効果：施策実行によって、どのような数値改善（KGI/KPI）が見込めるかのシミュレーション。

この架空提案は、あなたの論理的思考力、課題発見能力、戦略立案能力をダイレクトにアピールできる、非常に強力な武器となります。